「ゴミ屋敷を片付けられない」や「ゴミ屋敷化していることを認められない」といったことで悩んでいる人、またはその家族の方は多いと思いのではないでしょうか。
ゴミ屋敷化を防ぐ、あるいはゴミ屋敷を解消するためには、ゴミ屋敷化する原因を理解すること、そしてゴミ屋敷を片付ける方法を正しく理解することが大切です。
そこでこの記事では「ゴミ屋敷を片付けられない」状態に陥っている人や、その家族が知っておくべきことについて、ゴミ屋敷清掃のプロが分かりやすく解説します。
目次
ゴミ屋敷を片付けられない原因は、大きく分けて以下3つと考えてください。
上記について解説します。
ゴミ屋敷を片付けられない原因のひとつが「物を捨てられない」です。これは、身体的な理由によるもの以外にも、精神的な理由も該当し、人によっては両方が原因になっていることもあります。
例えば、高齢者が「もったいない」という気持ちが強すぎてプラスチック容器やペットボトルを溜め込むことや、そもそも日常的にゴミ回収場までゴミを運べないケースが典型例でしょう。
ゴミを捨てる行為自体が身体的な負担になるため「もったいない」や「いつか使える」という理由を持ち出して、結果的にゴミ屋敷化してしまう訳です。
「心因性疾患」もゴミ屋敷を片付けられない原因です。最もわかりやすい事例がストレスによる「うつ病」でしょう。
仕事や人間関係、家族からの孤立といった要因のほか「注意欠如・多動症(ADHD)」や「自閉スペクトラム症・アスペルガー症候群(ASD)」などに起因する二次障害も考えられます。
また、本来であれば落ち着く空間であるべきはずの家がゴミ屋敷になっていることで、帰宅すること自体がストレスになり、負の連鎖に陥ってしまうパターンもあります。
ゴミ屋敷を片付けられない原因には「認知機能の低下」もあります。公益財団法人日本都市センターによると、ゴミ屋敷は「75歳以上の男性の単身世帯」が多く、認知症や精神障害に該当するケースも多かったとあります。
この調査結果が示すように、認知機能の低下が見られる高齢者においては、ゴミ屋敷を片付けられないケースが多くなりやすいと言えるでしょう。
とくに高齢者においては、ゴミ屋敷をゴミ屋敷として認識できない、または認めない、ゴミをゴミとして認めないといったケースが多いようです。
出典:公益財団法人日本都市センター、自治体による「ごみ屋敷」対策ー福祉と法務からのアプローチー、P.37
ゴミ屋敷を片付けられない要因として以下のようなことが挙げられます。これらを理解することで、より正確に原因を把握しやすくなるでしょう。
それぞれ解説します。
ゴミ屋敷を片付けられない要因の典型例が「もったいない気持ち」です。例えば、コンビニ弁当の容器、お菓子の箱、缶や瓶、そしてペットボトルなどの再利用を考えた結果、ゴミとして溜まってしまうパターンがあります。
また、幼少期の貧しい生活がトラウマ化している人や、戦後の物がない時代を生きた高齢者などで顕著になるでしょう。
「孤独」も要因です。家族からの孤立や死別など様々なことがきっかけとなり、孤独を紛らわせるために物を溜め込むケースがあります。
「何かに囲まれている」ことで安心感を得ようとしているケースや、ゴミを捨てることで喪失感が生じる恐怖などが影響しているケースも考えられます。
ゴミ屋敷を片付けられない要因には「収集癖」もあります。例えば、好きなブランド品や、漫画、フィギュア、カードなど、様々な物が該当します。
買い物が好きな人や、買い物によるストレス発散を習慣化している場合は、注意すべき要素と言え、とくに女性は該当しやすいかもしれません。
「諦め」も片付けられない要因です。仕事やプライベートにおいてうまくいかないことが続くあまり、自暴自棄になり、片付けやゴミ捨てしなくなるケースもあります。
片付けられない要因として「ストレス」も挙げられます。仕事や人間関係などによるストレスで無気力化し、片付けを含む日常生活に無関心になってしまう状態です。
これを「セルフ・ネグレクト(自己放任)」と言い、一種の精神障害を患うことで起こりやすくなります。
「多忙」も片付けられない要因です。例えば、ゴミ出しルールで決められた日時に家にいないケースや、仕事の都合でゴミを捨てられない状態が続くことなどが該当します。
ゴミ屋敷を片付けられない状態を打破するためには、以下の手順を追って解消を目指しましょう。
上記について解説します。
まずは「ゴミ屋敷であることの認識」が重要です。とくに、認知機能が低下している高齢者の場合は、家族や行政担当者などの周囲の力が必要になります。
例えば「介護(支援)認定」や「介護施設の利用」といったタイミングで、本人に片付けの必要性を理解してもらうのがおすすめです。
「原因と理由の特定」も大切です。なぜなら、ゴミ屋敷化は繰り返す可能性が高いためです。
ゴミ屋敷になった原因と理由を理解することで、根本的な解消と再発防止につながります。
次に「片付けのスケジュール設定」です。ゴミ屋敷を片付ける一連の流れをスケジュール化します。
具体的には、片付けに着手する日、業者に依頼する日、作業日をはじめ、自分で片付ける際の「ゴミの日」を確認することなどが含まれます。
最後は「作業」です。自分で片付ける、家族の協力を得て片付ける、さらにはゴミ屋敷清掃業者による作業といったパターンがあります。
ゴミ屋敷を片付ける方法は以下2パターンです。
自分で片付ける場合は、安価に抑えられる一方、作業は大変になるでしょう。業者に依頼する場合は、迅速かつ確実に片付く反面、コストがかかります。
本人や家族が片付けられるのであれば業者を利用する必要はありませんが、ゴミ屋敷化しているほとんどのケースにおいては、業者を利用するのが賢明な判断です。
業者にゴミ屋敷清掃を依頼した場合の費用相場は以下を参考にしてください。
ゴミ屋敷清掃にかかる費用は、同じ作業であっても業者ごとに異なります。理由は、車両費や人件費の基本料金が違うほか、ゴミ処分代も違うためです。
従って、費用を安く抑えるためには、自分で安い業者を見つける必要があります。なかには、高額請求を働くぼったくり業者も含まれていますので、業者選びは慎重になってください。
ゴミ屋敷清掃業者を選ぶ際は、以下のポイントを参考にしてください。
業者を選ぶ際は、高額な交通費を請求されにくい地元の業者で、なおかつ信用度が高い「一般廃棄物収集運搬業務の許可番号」を確認しましょう。
また、最低料金と適正価格を把握するために、最低でも3社から同じ条件で相見積もりをとるのがおすすめです。
ゴミ屋敷を片付けられない人や、その家族は、原因と解消法を知ることが大切です。まずは、ゴミ屋敷化してしまった原因を理解し、本人の協力の下、片付けに着手しましょう。
ゴミ屋敷を片付けられないと感じる場合は、ゴミ屋敷清掃業者や不用品回収業者に相談することをおすすめします。
関連記事