老人ホームをはじめとする高齢者施設において、遺品整理を余儀なくされるケースがあります。例えば、老人ホームに入居中の家族が亡くなってしまうと、家族は老人ホームにある故人の遺品を片付けなければなりません。
一般的な家屋における遺品整理と、老人ホームの遺品整理は似て非なる点があるため、手続きや、特有の注意点などを理解しておくことが求められます。
そこでこの記事では、遺品整理のプロが「老人ホームの遺品整理」でお悩みの方に向けて、方法や注意すべきことなどを分かりやすく解説します。
目次
老人ホームの遺品整理は、決まった手続きが存在する訳ではありません。最も肝心なことは、遺品整理について家族と施設で入念に打ち合わせすることです。
具体的には、退去期限や作業日時のすり合わせ、退去手続き、支払いといったことが含まれます。
なお、遺品整理や退去に伴う作業などについては、老人ホームごとに異なる規定に基づいて対応しなければなりませんので、遺品整理に着手する前段階で施設の規定を確認しておくことをおすすめします。
老人ホームの遺品整理をする方法には、以下2つがあります。
上記について解説します。
老人ホームの遺品整理で最も定番なのが「家族で片付ける」です。これは、故人の貴重品や、相続に関する書類、さらには思い出の品などを家族で片付ける方法で、時間と手間がかかるものの、安心な方法といえるでしょう。
老人ホームの遺品整理は、一般的な家屋のものと比べて、物量が少ないことがほとんどのため、比較的早く片付き、費用を抑えられるほか、遺品を家に持ち帰って保管する選択も可能です。
ただし、家族が遠方に住んでいる場合や、片付けの時間がとれない時などは、対応が難しいかもしれません。
老人ホームの遺品整理は「遺品整理業者に依頼する」ことでも対応可能です。遺品整理業者は、故人の遺品を仕分け、ゴミや不用品を処分してくれるほか、必要に応じてお焚き上げなどにも対応しています。
また、ほとんどの場合において、数時間内に片付くことや、1回の対応で済むことから、スピード感と確実性に長けています。
一方、コストがかかることは当然ながら、施設や入居者らに配慮する必要があるため、業者選定が負担に思えるかもしれません。
老人ホームの遺品整理は、そのほとんどの場合において一般的な遺品整理よりも安く済むといわれています。
例えば、最小限の身の回り品しかない場合は、軽トラック1台で済むため、基本料金が9,000円~となり、リサイクル料金やゴミ処分費を含めて30,000円~50,000円に収まるでしょう。
仮に、ワンルームタイプの老人ホームで、家具や家電等の生活用品一式を保有している場合は、120,000円~かかると考えられます。
老人ホームにおける遺品整理では、以下のことが重要なポイントになります。
それぞれ解説します。
老人ホームの遺品整理では「スピード」が重要です。なぜなら、1日単位で入居費が加算される可能性があることや、退去時の清算で日割り計算してもらう際に影響するためです。
また、老人ホームの多くは「入居待ち」の可能性もあることから、可能な限り速やかに明け渡しするのが理想的です。
「仕分け作業」も重要なポイントです。具体的には、故人の貴重品や、相続に関係する重要書類を探して確保しなければなりません。
仕分け作業は、業者に依頼した場合であっても行われますが、見落としや、誤って破棄してしまう可能性が否定できないため、生前整理していない場合はとくに、家族が責任を持って対応すべき工程といえます。
老人ホームの遺品整理では「業者や施設との連携」が重要です。例えば、遺品整理業者がいつ施設で作業するのかや、施設からの伝達事項を業者に伝えるなど、連絡の仲介が必要になります。
老人ホームの遺品整理は、業者に依頼したからといって、丸投げする訳にはいかないことに注意しましょう。
老人ホームの遺品整理では以下のことに注意してください。
上記の注意点について解説します。
老人ホームの遺品整理では「貴重品などの取り扱い」に注意してください。例えば、銀行通帳、印鑑、宝飾品、有価証券、生命保険の書類、さらには不動産の登記情報などが該当します。
生前整理によって家族がすべてを把握していれば問題ありませんが、老人ホームに置いてあるのか、家に置いてあるのか、よく分からなくなるケースが多いため、注意が必要です。
「退去期限」にも注意しましょう。老人ホームの退去期限は、各老人ホームによって異なるだけでなく、入居費にも影響が生じます。
故人が亡くなった時点で退去期限を確認し、逆算するようにして遺品整理のスケジュールを計画してください。
老人ホームの遺品整理では「他の入居者への配慮」も注意が必要です。感染症対策や騒音、ご挨拶など、家族だけでなく業者を利用する際にも気を付けなければいけません。
他の入居者が心理的なストレスや悲しみなどを負わないように、遺品整理に携わる全員が配慮しましょう。
老人ホームの遺品整理を業者に依頼した方がよいケースは以下の通りです。自分で対応するか、業者に依頼するか迷った時は参考にしてください。
それぞれ解説します。
「片付けの時間が確保できない」場合は、業者に依頼するのがおすすめです。退去期限や入居費の問題が生じやすい老人ホームの遺品整理は、スピードが重要なため、時間の融通が付かない時は業者に依頼した方が早く、確実に片付きます。
「物量が多い」場合は業者に依頼した方がよいでしょう。とくに、家電製品や家具、ベッドなどを持ち込んでいるようなケースでは、搬出が大変になりますので、業者に依頼するのが賢明です。
「引き取った荷物を保管できない」場合も業者に依頼した方がよいでしょう。家族が遠方に住んでいるといった事情で、荷物の置き場所を確保できないケースなどは、業者に依頼し、回収と処分を同時に済ませるのが無難です。
遺品整理業者を選ぶときは、以下を参考にしてください。
業者を選ぶ際は「老人ホームで遺品整理の実績がある」かを確認しましょう。老人ホームで片付けることは、他の入居者や施設のサービスを邪魔してしまう可能性があるため、このような事情をよく把握している業者の方が安心です。
また、スピードが重要ですので「即日対応が可能」か、そして「見積もり無料の業者を利用する」ことが大切です。
見積もりは、可能であれば3~5社で相見積もりをとりましょう。相見積もりをとることで最低価格と適正価格が把握できます。
老人ホームの遺品整理は、施設と打ち合わせしたうえで速やかに実施することが大切です。遠方に住んでいる場合や、片付けの時間がとれないといった事情がある場合は、遺品整理業者や不用品回収業者などを利用することをおすすめします。
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